LOVEiPhone[4]

スッと涼しい空気を感じたと思ったのは一瞬で、また汗とベタついた匂いの中に戻った。軽く振り向いて、楽園の正体を確かめる。

真っ黒なマネキンが見えた。ジャラジャラとしたネックレスと白いタンクトップを着て、汗もかかずに座っている。人生は一度しかなくて、世の中にはこんなにたくさんの服で溢れ、わたしはこの類いの服に手を通すことは一生ないのだなとわかっているあたり、大人になったのかもしれないと思った。

暑さにうんざりしながらも、足は嬉しそうにサクサク歩き、花壇の端に座っている彼の前まで辿り着いた。取り急ぐことはいつもない。隣に座ることにした。

「久しぶり。」

「…はい。」

嘘だ。おととい会ったばかり。どうも彼とは時の流れがおかしい。一日千秋ってこういうこと?

「はは」
「あははは」

何が面白いわけでもないんだけど、2人でにたにたしている。いい大人が中学生のように。さっき大人だと思ったわたしを、自分で訂正する。

ほいっと彼がiPhoneを見せてくれる。

「なぁにこれ。」
わたしはこらえきれず、声を出して笑った。
「なにって。」
「…食べ物系多くない?!」
「ほんとだ」

食は万里を何とか、とか言ってる彼をじっと見ていたら、彼がチラッとこちらを見て、不思議な表情をした。
よく見るこの表情の意味が、まだわからない。怒っているのではないということだけ。

「今日はどれにする?」

立ち上がり、2人で歩き出す。路上で踊る人と、それを見ている人だかりをすり抜けた。

「そのリスト、全部しようね。」

横断歩道が点滅する。

「走る?」
「うそ、走っちゃう?」
「走る!」

なぜか恥ずかしくなって先に走ってしまったから、彼が走る姿を見損なってしまう。

また並んで歩きながら、リストが私の言いだしたことばかりだということに、気が付いた。

ふと目が合うと、また彼があの表情をする。何だろう。

このリストに彼のをいくつか足そう。
西へ行きたいとか、名前だけ知っているあのお店。

そして、全てにチェックが入る頃には、確信が持てるかもしれない。

あの表情が、照れているんだってことに。


さて。お久しぶりに妄想炸裂させてみました。何を書こうかと話すと、LOVEiPhone書いてと言われることが多く、ありがたく思って乗っからせていただきました♬夏ですね~。

Posted from するぷろ for iPhone.

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