学校の食堂は、グランドピアノのかたちをしている。入っちゃえばわからないが。
下手したら産んでるようなくらいの、若い人たちに混じらせてもらって一緒に勉強しているわけなので、昔みたいに友達とご飯食べたりすることはない。
若い子たちをまぶしく見つめながら、眠くならないようにあんまり食べないで、コーヒーを飲んでいる。
ぼーっとしていたら、昔の友達みたいな後姿に出会って、いきなりあの頃に戻った気がした。もちろん今の彼女はそれなりに歳もとっているだろうから、そんな茶色のくるくるした髪型をして、ミニのショートパンツを履いたりはしていないと思う。
その時の若い彼女にはもちろんもう会えないのが、当たり前なのになんだか不思議だ。
今日は、あの子と同じ曲を弾いた人がいた。
歳を取ると、いろんなことがどうでもよくなるし、逆に全てが無駄ではないことを知る。そして、優先順位がわかりやすく、時間がとても貴重なものになる。
お互いにも一方的にでも、知っている人はどんどん死んで行くし、朝は今のところ変わらずやってくるし火曜はゴミの日。
何にもなれないまま、何かになるリスクもわかってくる。何にもなりたくないし、何になっても私は私であるし、優しい人に優しくして、ときどきそっと離れて、自分を楽しませるために生きている。